1987年 新年
☆ピラカンサス庭に噴火の実が炎える
☆地団駄を踏むは亀の子親譲り
☆霜焼けの紅葉は濡れて訴える
☆現代娘ずばりと思うこと述べる
☆ベレー帽冠る不二山老けて見ゆ |
1987年 7月
※佐用姫の涙を溜めた山の池
☆情無い休耕田に鷺遊ぶ
☆パラリンピック記録に挑む車椅子
☆噛み合わぬ意見聞き流す
☆高校生孫は次第に遠くなる |
1987年 2月
☆手こずらし頑固取りえに生きる道
☆応援団目立ちがり屋を募集する
☆目をかけて手はかけられぬ距離をおく
☆黒枠の祖母は無言の経を読む
☆勇ましく有馬太鼓の賀詞ひびく |
1987年 8月
☆ギブアップしない男に灸が効く
☆水月の切っても切れぬ良い夫婦
☆仏前に割座の祖母の背な丸く
☆生き甲斐を感じていますよく釣れる
☆過ぎ去った悪夢の話夜が白む |
1987年 3月
☆邪気払う七草粥は妻の知恵
☆鏡割り君には無理で俺がやる
☆クレーン車の大地をゆすり鷲掴み
☆思春期の声張りあげて山を呼ぶ
☆眼を見張る八方美人に隙がない
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1987年 9月
☆氏神の夫婦銀杏は子沢山
☆城垣の影は水面に反り返る
☆人生は誤算の繰り返し
☆自服する茶の湯は涼し妻の留守
☆捕虫網動く気配に蝉の尿
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1987年 4月
☆孫祝う桃の節句を祖母自慢
☆老い孤独心まだまだ旅思う
☆一人旅やはり気楽は気楽なり
☆宿主人宿帳を見て顔しかめ
☆夜は一人昼は我が影二人連れ |
1987年 10月
☆夏休み湯布高原に避暑ごもり
※美しく老いる条件知っている
☆老いらくの恋は衝動買いに似る
☆山脈の波は大地の反り返る
☆陶土搗く水車のリズム平和調
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1987年 5月
☆完敗に残念至極では済まぬ
☆楽したい主婦のホンネをうけて売る
☆もう一歩踏み込む勇気ネジを巻く
☆相づちをうかつに打ってあと悩み
☆消えてゆく過去の栄華に追いつけぬ |
1987年 11月
☆花道を通る総理は争わず
☆蜘蛛の囲にかかる落葉は蜘蛛のもの
☆富士山に少し似ている郷土富士
☆再会の思い思われ初紅葉
☆巡りきて親に似た子の反抗期
☆消灯ラッパ名月を消す黒い雲
☆使命感生きて還った慰霊祭 |
1987年 6月
☆ざりがにの脱皮見て居る春日和
☆祖母迷う横文字の名の花ばかり
☆予算採決アメリカ行きの切符とる
☆欠伸して春の日脚を長くする
☆エンジンのかゝりが悪い朝の冷え |
1987年 12月
☆団地族蜂の巣城に皆籠る
☆禁煙タクシーいよいよやめる時機を得た
☆男なら火口の深さ覗き瞰る
☆失恋もサラダさらりと詠む乙女
☆庭松の手入梯子を月昇る
☆コスモスの風に色ある揺れ具合
☆月碧く曲り胡瓜のような川 |