1984年 新年
☆後押しの力を頼む閥に居る
☆人生の旅は行くだけもどれない
☆幸不幸のわかれ心の中にある
※ときめきを感ずる程に櫨燃ゆる
☆人生の踏切という停年か
※子育ての終わりを告げる娘が嫁ぎ
☆防衛防災両天秤の肩の位置 |
1984年 7月
☆手作りの心のゆとり個性の美
☆暁の空の巨星はすぐ消える
※水を呼ぶ為にこちらを低くする
☆閉じこめて延びよと親は無理を言う
☆孕み猫老人の知恵借りに来る
☆老人と主婦をねらえと詐欺投手 |
1984年 2月
☆クリスマス婦警にからむ酒の精
☆偏差値の低い徒党の空威張り
☆不景木の枝が突き射す師走空
☆見栄のない老友会の口達者
☆櫨燃えて初日待ちわぶ爺と孫 |
1984年 8月
※省みるときに目当ての灯りが見える
☆親は子に諭す言葉を口ごもり
☆先達のほまれが先に行き詰る
☆風向かい重荷背負うて倒れまい
☆脱皮するために汗かき身を縮む
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1984年 3月
※歯車を廻せばベルト喋りだす
☆同窓の友歓談にこと欠かず
☆開けゴマ踏めば玄関自動ドア
☆可愛くて愛児の寝顔独り占め
☆豪庭の松の枝振り盆に載せ
※頂点の席は譲れるものである |
1984年 9月
☆ハイカラと逆に呼ばれる世の変わり
※針の穴覗けば見ゆる十字屋
☆花道を通らぬ役者軽視され
☆完全を望む理想の虹消ゆる
☆まだ必要神が認めて生きている
☆脱皮して変身急ぐ赤とんぼ |
1984年 4月
☆行倒れ明日は吾身かも知れず
☆日向ぼこ心配ないは嘘になる
☆特席を差別嫌いの老達者
☆不治を知る見舞の客の重い口
☆訃報欄わが年よりも幾つ上
☆青羽根をひろげよ孔雀春盛ん |
1984年 10月
☆どくだみの葉はハート型毒除く
☆浮草の流れて滝に躊躇する
☆袈裟がけに北斗七星天を切る
☆人体の水分散らすサウナ風呂
☆兵の星ふるさと目指す流れ星 |
1984年 5月
☆ライバルと言う程仲は悪くない
☆風船について昇った千羽鶴
※どん底に落ちた同志の快気炎
☆実験のサルとカエルに春は無い
☆自転車で見るパノラマの春景色
☆柔らかい手から伝わる協和感 |
1984年 11月
☆商談の過熱を冷やす氷菓子
☆みの虫の異常発生原爆忌
☆終るまで聞けば質問消えている
☆ポン立ちの戒め厳し秋土俵
☆OLのマンガ立ち読む午下り
☆休みなく地球は廻り陽が昇る |
1984年 6月
※羽ばたけば羽根の根元がゆるみだす
☆富士山を上から覗き旅終わる
☆戦禍とは焚火の枝の虫焼ける
☆一人づつ通る細道迷わない
☆霊魂は何処におわすか古墳群
☆老人の知恵の深さに橋がない
☆老木は梢揃えて丸くなる |
1984年 12月
☆突っ張って無限の力出し惜しむ
☆妄想を置き去りにして風化する
☆頑張ろう大正生まれなあお前
☆胸に手を当てて落ち着き取り戻す
☆新鮮な元気吐き出すはぜ紅葉
☆自尊心傷つかぬかとそっと聞く |