1983年 新年
※また一人同輩去った透間風
☆餓死と知り切ない思い枯木星
☆人の世の定めに背く試験管
☆木守柿烏に残し留守にする
☆失脚の男ロボット作り出す
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1983年 7月
☆三尺になれば竹の子生き残る
☆夜の蝶美しすぎる毒蛾かも
☆戦友愛枯れず続いた四十年
☆淋しさを仏に告げる一人ごと |
1983年 2月
☆猫の名も入れて子無しの年賀状
※会釈され憶い出せない歩き振り
☆またたかぬマネキン嬢と視線合う
☆猪に弱い卯年の逃げっ振り |
1983年 8月
※安らぎの道はこちらと地蔵尊
☆賞められたネクタイつけて暑くない
☆健康食すすめてくれた友が逝く
※宿題の子の言訳を母がする
☆泣く蝉が古墳の謎を知っている |
1983年 3月
☆顔写真虚々実々の相を持ち
☆吐き出した言葉は口に帰せない
☆どちらにも興味なくなり棄権する
☆追い越して越されてうまく生きていく
☆丸焼けを見て見ぬふりもしておれず |
1983年 9月
☆権力の届かぬ魅力山登り
※音だけをさかなにしてる遠花火
☆好きな旅や馬ごころ動きだす
☆たこ壷に入る気持がよくわかる
☆鉄砲百合花を構えて蝶を撃つ |
1983年 4月
☆墨痕の字は絵に通ず書道展
☆歴史とは血の争いの筆のあと
☆泣きじゃくる四十の孤児にもらい泣き
☆悲喜の別涙の味が声となる |
1983年 10月
☆炎天の少年野球振る日傘
☆気のりせぬ話があって夏終る
☆動乱の世を生き平和にも生きて
☆暁の明星それは老師霊
☆冷奴匙よりこぼす舌の上 |
1983年 5月
☆梅咲いて景気一輪好転す
☆大根の首を晒して採種梅雨
☆しばらくは窓際族の高住い
☆郊外に都塵をさけて老のどか
☆夕渚別れがつらく影が伸び |
1983年 11月
☆明月は軟着陸の跡見せぬ
☆思い出の涙に墓は語らない
☆友情は互に頼るうちに湧き
☆影に泣くその反対に光源を
☆大道は門も関所も無い自由 |
1983年 6月
☆喜びを待つ娘に日脚やや伸びる
※ひとりごと云えば聞いてる嫁がいる
☆幸福の駅に旅する四月馬鹿
☆生前の笑顔と語り供養する |
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