1998年 新年
☆障子貼る祖母の手さばき馴れている
☆軋ませて横車押すしたたかさ
☆押し売りに妻は撃退術悟る
☆出世よりただ酒飲むなとたしなめる
※彫ることは祈ることだという仏師
☆彫り出した古い歴史がよみがえる
☆ストレスを溜めて女はよく喋る
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1998年 7月
☆大牡丹崩れるように老舗閉ず
☆不況感不良銀行貸ししぶる
☆心信が足らぬ願望届かない
☆作句する読んで喜ぶ人のため
※愛情のでがらしだった老いの恋
☆プライドが妥協許さぬ幕の内
☆幸せの尺度が違う三世帯 |
1998年 2月
☆何迷う頭傾げる里地蔵
☆生き残る為に頑張る老いの春
☆歳月は待たずもう干支七回り
☆繁栄の祈り竹添え松飾り
☆元旦は野良猫みんな初々し
☆初御空校塔に見る日章旗
※新年の夢を積荷のいのち船
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1998年 8月
※装いも人の心も暑がり屋
☆のぼせならサッカーのぼせ山笠のぼせ
☆字を忘れ痴呆の始めかと不安
☆ホームレス冷暖房のあるところ
☆地獄耳一足先に発起する
☆夫婦とはこんなもんかと五十年
☆政党は献金先に恩返す
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1998年 3月
☆念入りに義歯を磨く初手水
☆さり気なく羽織る毛皮が重くなる
☆寄せ鍋にスタミナ領ける老二人
☆孫子らの帰省は嬉し去るもよし
※友の死に己が命を考える
☆老い先を少しアンテナ高めねば
☆日本からアジア経済かき乱す
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1998年 9月
☆世紀末金の鳴る木も枯れてくる
☆耳遠き友に挨拶握手のみ
☆年齢問われ未だともうとを使い分け
☆老妻は昔助役で今主役
☆弾むバネ内に溜めてる低姿勢
※どん底で笑う外なく慌てない
☆何もかも妻に委せてしょうしょう不満
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1998年 4月
☆つくしん坊土堤に音譜が出来て居る
☆信念を曲げぬ男は嫌われる
☆縄張りをはっきり告示蜘蛛の糸
☆人の世は色と欲とのいばら道
☆天の声地の声駄目な人の声
☆上塗りの粉飾決算水ぐるま
☆規制する緩和するまた規制する
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1998年 10月
☆東大の学部に足らぬ人の道
☆父親に似た子が生まれ安堵する
☆神様も鈴鳴り止まず休めない
☆私ごと検査入院夏終る
☆痴漢道八十路の体胸張って
※機械化に取り残された老い哀れ
☆しとど降る雨に地蔵のちゃんちゃんこ |
1998年 5月
☆B型は長寿頑固と云う定義
☆迷い子のアナウンスあり手をつなぐ
※反省をしない人たち一人ぼち
☆鳥交わるエッチの季節花の下
☆豊かさの積りつもってゴミの山
☆過疎村の大イベントは嫁探し
☆酔客を遠く見下す山桜 |
1998年 11月
☆パチンコは栄え銀行倒れてる
☆老骨のまだまだ負けぬ口達者
☆老夫婦愛を煮詰めて旅をする
☆神様が呉れた命よマイペース
☆呆け封じひねる句作がよい薬
☆ストレスが虫の居どころ移動する
☆花の名も知らぬ蜂たち選り好み
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1998年 6月
☆社内旅行よい課長だが雨男
☆街が舞台博多どんたく馬鹿騒ぎ
☆鯉幟り賞めて商談成立す
☆門の無い久留米城址に青葉風
※松の芯長短共に天を指す
☆異議なしと叫ぶさくらは絵会屋
☆ノルマの辻馬車走る男坂
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1998年 12月
☆老いの坂自分の坂は遠かった
☆柔らかい頭になれぬ生き残り
☆茶柱の立ったその日も何も無し
☆蜻蛉は塔の穂先で監視する
☆遠山に誰が投げたか虹二つ
☆伸び過ぎた芝生は虫の宿になる
☆オバタリアン賞味期限は過ぎました
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