1996年 新年
☆黒田節酒に弱いと出世せぬ
☆移ろいの歴史見守る無線塔
☆倖せな老を演じて湯に疲れ
※楽しさは辛く苦しい後に来る
☆そしてまた結婚出産七五三
☆とにかくも戦後平和の五十年
☆幸福度中位なりおらが春 |
1996年 7月
☆豊かさが勿体無いを私語にする
☆何か捨て何か手に入れ生きてゆく
※プライドを忘れて友が多くなり
☆人生はピンチとチャンスのドラマです
☆人は皆生きるのでなく生かされる
☆情けあるそのひと言で生き返る
☆雲仙はおこりん坊のおしゃれ山 |
1996年 2月
☆天よりの便り余白に嫁ヶ君
☆日本丸何処進めない油切れ
☆口出しはせぬがやっぱり気にかかり
☆元日の初をつけると切がない
☆歳月の流れ老化の浮き沈み
☆駆け抜ける箱根駅伝意義深い
☆住んで居て此処が一番よいところ |
1996年 8月
☆強盗とは知らぬ銀行の自動ドア
☆墓苑への供華を約した四季の花
☆新種とはメロンと西瓜かけあわせ
☆食べるだけ食べて入歯の手入れする
☆竹の子を生んだ猛宗色あせる
※梅雨の月不況の風情明るくす
☆犬ふぐり孫はその意味未だ知らず |
1996年 3月
☆石投げて氷の厚さ問うてみる
※着ぶくれて他人のような初鏡
☆神篭石抱いて高良の山眠る
☆君は逝く黄泉路の旅の別れ雪
☆ねずみ算増やせ子宝子沢山
☆寸先もわからぬままにひた走る
☆伝統をつながにゃならぬ建国日 |
1996年 9月
☆苦労など笑顔で耐える夫婦坂
※仙台はねぶたが燃えるえぞ宣撫
☆補助金の増加をねらう反対か
☆学歴は必要だけど不登校
☆ぽっくりと死後のことなど考えず
☆雲海の底に瀬戸内島の数
☆よろよろの老の歩巾は幼児並み |
1996年 4月
☆仏にも見せて決まった孫の嫁
☆長男にかけた期待も嫁しだい
☆つくしんぼ大地突き抜け春告げる
☆仇討ちに気合をかける陣太鼓
☆入学期自転車泥棒日本版
※自慢して後味悪く棄権する
☆土下座して切腹まではせぬつもり |
1996年 10月
☆占いは鬼門の故(せい)にしてしまう
☆ぬるま湯に半熟卵出来上がり
☆死を招く交通戦争実施中
☆門前の小僧のような寺の蝉
☆使命負い役目終れば彼岸ゆき
☆運命と戦う余生まだ達者
☆商魂は税金泥棒と同居する |
1996年 5月
☆診療の流れ作業は分刻み
☆極楽は見たいけれどもまだ行けぬ
☆営庭に同期の桜今盛り
※日の丸は揚げず旗日の休みとる
☆末席の意見なるほど正義感
☆宇宙士の夢を越えゆく若田さん
☆釈迦像に願いを注ぐ五色水 |
1996年 11月
☆契約は公約よりも守られる
☆国民の政治離れは平和惚け
☆家守る女の不満外に出る
※靴の紐時間稼ぎの締め直し
☆騒がしい世評気にして紐を解く
☆子の使命親を追い越せ進化論
☆まなうちに過去が流れる走馬灯 |
1996年 6月
☆遺跡から太古を探すピンセット
※ブツブツと老の本音が泡を吹く
☆今昔コットンコットン絣織る
☆金毘羅へ籠に乗る人かつぐ人
☆美しく老いたい色の播磨橋
☆山桜酒色嫌って葉が先に
☆さくら散る下界下す天守閣 |
1996年 12月
☆草花を守る政党ならばよい
☆良い方に解釈すれば事が済む
☆絶対と云い切る程の自身無い
☆こうもりの天敵ふくろう夜の修羅
☆吹く風に砂丘の砂は放浪す
☆睨まれて妊娠しそう色男
☆いきのよい玄界灘の桜鯛 |