1995年 新年
☆曇り後雨か晴れかは天委せ
☆日向ぼこ爪の堅さは老いの音
☆島を生み神を生み出す古事記伝
☆呆け封じひねりにひねり句を作る
☆子の好み知ってる母の駄洒落癖
☆耳鳴りの潮騒ぐ遠く旅おわる
☆素人の修理は悪くしてやめる |
1995年 7月
☆人生を長く楽しむ老の幸
☆老いらくの旅を楽しむ連れが居る
☆大それたオウムは隊にうずくまる
☆森林浴心の薬目の薬
☆渋滞の車横目にペタル踏む
☆工事場の緑十字旗鯉幟
☆訪い訪はれ老戦友の生き残り |
1995年 2月
☆日章旗仰ぎ敬礼理屈抜き
☆若かった頃の猪突を懺愧する
☆蜃気楼不老長寿の島誘う
☆暗いから明るくせよと人が云う
☆変化する世相の窓に初明かり
☆お年玉孫からもらう逆転気
☆放任を育て上手と褒められる |
1995年 8月
☆スペェアの利かぬ命は捨てられぬ
☆ジャンボ機を錐一本でハイジャック
※雑草の一揆は老の手に負えぬ
☆天の川七夕西瓜流れ来い
☆好奇心強い魚は疑似餌釣り
☆水不足余れば家を押し流し
☆鉄砲百合草の中からこちら向く
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1995年 3月
(阪神大震災)
☆思いやり怠っていた罰当り
☆被災者に同情すなら家を呉れ
☆災害は人間社会の脱皮とか
※智におぼれ天の怒りを甘くみた
☆災いを福となしたるボランティア
☆生きていた確かに電話孫の声
☆震災が二人の仲の縁結ぶ |
1995年 9月
☆生き様を知っているから知らぬ顔
☆子は欲しいされど結婚したくない
☆平成七ねんラッキーセブンは嘘のよう
☆土壇場のツバメ返しは逃げ上手
☆博多山車流れ早める熱い水
※まゝならぬ世に生き天にさからわず |
1995年 4月
☆春一番荒れて空には傷がない
☆急かずとも歳は取るもの誕生日
☆願いごと星の流れに間に合わぬ
☆恋猫の喉に刺さった魚の骨
☆この釦猪の骨とは知らなんだ
☆階段を昇りつめると首が待つ
※目玉焼鍋の満月楽しもう |
1995年 10月
☆入道雲生き物めいて町覗く
☆民族の縄張り根性今昔
☆美しく老いたい希い今昔
☆風鈴がよく鳴り話よく弾む
☆熱い茶をすすり涼とる老夫婦
☆雑草は場所を選ばずただ茂る
※節水に小便小僧我慢する |
1995年 5月
☆この世よりあの世の友が多くなり
☆懐手解いて納得したもよう
☆手荷物を持たない旅が老の旅
☆教会の中に見せない秘密室
※俗説の方に流れる多数決
☆宗教の自由が人を縛りつけ
☆初桜サリン騒ぎに躊躇する |
1995年 11月
☆老犬の吼える責任かすれ声
☆でたらめをも通す世の中自由主義
☆私の勝手ですよと自由主義
☆見る者が見れば小石の考古学
☆豊満を不満に思う女学生
※惜しみなく金木犀は金散らす
☆生かされて温もる命さんさんと |
1995年 6月
☆ホームレス彼の住居は花の下
☆人命の重さは同じ土人の子
☆老体は古家に似て軋み出す
☆本性は可愛いがることいじめない
☆春の夜は喫煙室がありがたい
※外見にだまされていた後悔み
☆美しく老いるは至難親心 |
1995年 12月
☆五十年パプア散華の戦友偲ぶ
☆憎まれないように長生き一と苦労
☆京料理色も香りも味のうち
☆化粧品よく売れている化け芝居
☆死化粧の紅葉美し黄と紅と
☆惜気なく金をばらまく木犀よ
☆年寄りの役割暗示敬老日
☆老夫婦話す言葉も忘れてる |